尊厳死と安楽死の違いと共通点【日本での認知度の低さが問題】

終末期医療
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高齢化社会となってくる日本でも、『尊厳死』や『安楽死』といった自分の死について考える方も年々増えています。
しかし、医療現場に携わる方ならともかく、現状ではよく知られていません。

そこで今回は、尊厳死や安楽死の違いや共通点について説明をしていきます。
2つの特徴を知り、自分の死について考えてみましょう。

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尊厳死と安楽死の違いは「尊厳を持って死ぬ」か「苦痛からの解放」か

自分の死を考えたときに気になるのが、『尊厳死・安楽死』という言葉。
尊厳死と安楽死は共通点もありますが、それぞれ特徴が異なるためまずは2つの言葉の意味を知っておきましょう。

人としての尊厳を保ったまま死を迎える尊厳死

尊厳死は『1人の人間が人としての尊厳を保った状態のまま、死を迎える』ことを指します。
分かりやすく言うと、末期の症状を迎え治る見込みがない患者が、延命治療を望まずに自然な死を迎えることを選択するということ。

尊厳死に関しては主観的な考えが関わってくるため、定義は現状曖昧な状態です。
そのため自分で考えた死に方が実現できれば、尊厳死であると考えてもよいでしょう。

肉体的・精神的苦痛から解放されるための安楽死

安楽死は延命治療を行うにあたって、肉体的・精神的に発生する苦痛から解放するために死を選ぶことを意味します。
尊厳死とは異なり、人為的に死を早めるため本人の意志だけでなく周りの人の意見も重要に。

安楽死はさらに4種類に分けることができます。

純粋安楽死

病気の末期症状の患者の苦痛を取り除きつつも、その患者の寿命を縮めることなく安楽死を迎えられた状態。
本来の寿命を全うしつつ、苦痛を取り除くことができるため安楽死の中でも、最も理想的といえるでしょう。

間接的安楽死

末期患者の苦痛を取り除く治療を行った結果、本来の寿命より死期が早まった状態。
治療を行う前に本人や家族への十分な説明・理解が不可欠です。

消極的安楽死

できるだけ自然に近い死を迎えるために、延命治療や薬の投与を行わない状態。
現在延命治療で投与している点滴や薬を中止したり、生命維持装置を外すことも含まれます。

積極的安楽死

末期患者の苦痛を少しでも早く取り除くために、あえて死期を早める方法。
意図的に患者を死に導くことを目的としているため、見方によっては殺人ともとらえられ医師にとって最もリスクが多い安楽死です。

尊厳死と安楽死の共通点は2つある

一見正反対のように見える尊厳死と安楽死には、実は共通点があります。

1.患者本人の同意が必要

末期患者の治療で発生する痛みや苦しみは、計り知れないものがあります。
その姿を目の当たりにしていくら周りが『楽にしてあげたい』と思っても、患者本人が望んでいなければ実行できません。

反対に、患者本人が尊厳死や安楽死を自分の意志で希望すれば、周りが反対しても実行可能ということになります。

2.回復見込みがない末期患者のみ適用できる

尊厳死も安楽死も治療において回復の兆しが見られなく、死の進行を止められない状態にのみ適用できます。

しかし、日本では安楽死や尊厳死の実行については議論が繰り広げられており、倫理的に反対する団体も多いのが現状…。
現状では尊厳死や安楽死の実行は非常に困難といえるでしょう。

尊厳死も安楽死も日本ではまだ認められていない

日本では尊厳死や安楽死を認める法律が残念ながらまだありません。
世界ではオランダーやベルギー、アメリカではすでに認められていますが、これには死に関する考え方の違いが関係しています。
人の死をなかなか受け入れることができない日本に対して、アメリカでは個人の自由や自己決定権が保証されています。
そのため医師が処方した致死薬を提供することでの自殺幇助も州によっては認められています。

一方日本で認められているのは、『患者の意思に従って延命措置を止める』といった医療行為のみ。
この医療行為が尊厳死や安楽死と言われていますが、患者の家族が反対をするケースが多いのが現状です。
実際に、過去医師が医療行為として安楽死を行ったことで事件として扱われ、裁判沙汰に…。
このことからも日本で安楽死や尊厳死に関する法律が定められるのは、まだまだ先のことといえるでしょう。

延命治療のせいで尊厳死ができなくなる?

日本の医療の発展は目覚ましく、延命治療をすることによって多くの命が生きながらえています。
しかし、一度延命治療を行ってしまうと患者が命を落とす最期のときまで解除できないことも多いのが現状。

自分の最期を考える上で、もし『延命治療で多くの管につながれてまで生きるのが嫌だ』と考えるのであれば、元気なうちに家族にその意思を伝えておくことが重要です。

エンディングノートに希望する自分の死について記載を

実際に家族で話合うのはもちろん、話し合った結果や自分の考えを忘れないようにするためにもエンディングノートを活用しましょう。

エンディングノートには自分の最期や葬儀についてなど、自分の考えを自由に記しておくことができます。
家族と話し合うにしても、あらかじめエンディングノートに考えをまとめておくことでスムーズに話を進めることができますね。

違いをよく知り、家族と話し合って決めよう

安楽死と尊厳死はどちらも患者本人の意思で希望し、回復の見込みがない場合にのみ行われる医療行為です。

日本ではまだ理解が得られないことが多く、実現が難しい状況です。
もし自分が将来、尊厳死や安楽死を希望するのであれば元気な間にエンディングノートを利用して家族としっかり話し合っておくことが大切ですね。